日本てなかなか給料が上がらないのに、物価は上がり続けて、
将来の貯蓄もしたいけど、とてもできない…
ワークライフバランスなんていうけど、働けど、働けど、
暮らしは一向に楽にならない…
私生活を充実させるには、もう少し収入がないとね…
と悩んでいる人は、年齢・性別を問わずたくさんいます。
そういう意識の高まりを受けて、「副業(ダブルワーク)」への関心がとても高まっています。
平成30年1月に厚生労働省が公開した、改訂「モデル就業規則」でも、これまで副業を禁止する内容であったものが、副業を容認する内容に書き換えられました。
日産自動車や富士通などの、大手企業でも副業を解禁する企業が増えています。
そこで、今回は、起業や副業に詳しい夏目氏に、副業を始めるメリットや案件の探し方、確定申告の方法に至るまで解説してもらいます。
幅広い知識と経験を持つ起業コンサルタント。
自身も大手広告代理店で働きながら起業。
起業だけでなく、幅広い知識から副業についての造詣も深い。
趣味:愛娘、愛妻、愛猫とたわむれること
最後まで読んでいただければ、
・いま副業を始めたほうがいいか?
・どんな副業がいいか?
・注意することは何か?
など、副業についてのいろいろなお悩みが解決できます。
簡単で、すぐに始められそうな在宅副業を探しているなら、ぜひ参考にしてみてください!
副業を始めるメリット
(1)自分だけの裁量で収入をコントロールできる
副業をすることで得られる第一のメリットは、なんといっても収入増による精神的な安定です。
会社員の場合、急に毎月の給料を5万円や10万円も上げてもらうのは、なかなか難しいものですが、副業であれば、今月からでも5万円、10万円といった金額を無理なく稼ぐことが可能です。
また、会社員の場合、昇給は社の方針や上司の評価に依存することが多く、自身の思い通りにならないことも多いでしょう。
その点、副業は、自身の頑張りや割いた時間が収入に直結するので、自身の収入をコントロールすることができます。
このように、収入をコントロールできるようになると、精神的にも余裕が生まれます。
最近では、「副」業ではなく、「複」業と表記することもあります。
どちらが「メイン」なのかを決めるのではなく、複数の収入源をもつことで、リスクを分散することができるのです。
一般的に、投資の世界でも、1つの会社や金融商品に資産の多くを投入することは、その会社や商品に依存することになって危険なため、「入れ物」=「ポートフォリオ」を分散することが推奨されます。
この考え方は副業にも当てはまります。副業をすることで、特定の会社からの収入に依存することを避けられるので、「収入のポートフォリオ」を安定させることができるのです。
(2)将来、定年退職時など独立起業時のスタートダッシュにつながる
副業として取り組むメリットとして次にあげられるメリットとしては、「失敗」してもダメージがない(少ない)ことです。
会社員を辞めて独立し、起業をした人にも、最初は会社員をやりながら副業として仕事を始めた方が多くいます。
ビジネスは、最初からすべてがうまくいくとは限りません。
試行錯誤のなかで徐々に軌道に乗っていくものです。
その点、まずは副業から始めて、トライ&エラーを繰り返しながら、自身の「勝ち筋」を見出しておけば、いざ独立した際にスムーズなスタートダッシュを切ることができるでしょう。
100年人生という中では、定年退職した後も、収入が必要になるケースが多くあると思います。
しかし、退職後から何か新しいことを始めようと思っても、大きなリスクが伴います。
40代、50代から副業を始めて、ある程度軌道に乗せることができれば、老後のお金の心配が減るわけですね。
(3)副業で価値観が広がり、人生を豊かに
副業を始めると、会社外の人達と接する機会が出てきます。
そうすると、自分が所属している会社や業界の「常識」が、会社の外の世界では全く通じない、という経験をすることもあるでしょう。
このような経験が、あなたの「価値観」を広げ、人生を豊かなものにしてくれます。
また、広がった「価値観」を本業にフィードバックすることで、思いがけない「シナジー」が生まれることもあります。
クローズドな世界で仕事をしていると、どうしても発想が「小さく」なりがちです。副業で得た知見は、あなたに「新たな視点」を与えてくれるでしょう。
副業を解禁した企業も、そうした外からの空気を社内に取り込める点を解禁の理由に挙げていますね。
副業を始めるときに注意するべきポイント
副業を始めるメリットについて、幾つかお伝えしてきましたが、メリットばかりではありません。
副業を始めるにあたって注意しなければいけない点もいくつかあります。
どれもとても重要な事柄ですので、しっかりチェックをしておいてください。
(1)本業サイドでの注意点
まずは、副業を始める前に勤務先の「就業規則」を確認しておきましょう。
就業規則で副業が禁止されている場合、副業をすることは「就業規則違反」となり、場合によっては懲戒処分を受ける可能性があります。
企業の副業に対するスタンスとしては、「容認」・「届出制」・「許可制」・「禁止」の4つが考えられますが、多くの企業は、「届出制」・「許可制」・「禁止」のいずれかであると思います。
「許可制」の場合、許可を行うか否かに会社の裁量が認められます(会社がダメと言えばダメ)が、「届出制」の場合は、例外的な事情にあたらない限り認められるのが原則です。
もっとも、「許可」や「届出」の文言は、曖昧に使われていることも多く、その会社の運用によってまちまちです。
実際に副業を行いたい場合は、人事部や総務部など会社の窓口に確認しておくのが安全ですね。
副業が認められたとしても、守らなければならないルールがあります。
副業を認める条件として会社からルールを課されることが一般的ですが、ここでは一般的に守るべきルールを幾つか挙げてみましょう。
本業をおろそかにしない
これは当然のことです。会社は、あなたが勤務時間中にしっかり仕事をしてくれることを条件に、あなたに対して給料を支払っています。
会社の勤務時間中に副業を行うことは許されないことはもちろんですが、勤務時間外に副業を行う場合でも、会社に対して迷惑をかけないよう、最大限注意して行動をすることが求められます。
本業で残業が必要な時期に、副業のために早く帰ってしまうとか、夜中まで副業をしたために、朝起きられなくて、本業に遅刻をしてしまうなどは、許されません。
会社の秘密情報は決して漏らさない
本業で知りえた情報を社外に漏らすことも厳禁です。
最近では、元通信会社の社員が営業秘密を持ち出したとして、不正競争防止法違反の疑いで逮捕される事例がありました。
このような行為は、刑事罰のみならず、会社からの損害賠償請求といった民事上の制裁を受ける可能性もあり、取り返しのつかないことになってしまいます。
このような行為は、「わざと」やった場合はもちろんですが、「うっかり」であっても許されません。
たとえば、副業でメールをするときに、
- 誤って本業の資料を添付して送ってしまった
- 本業で貸与されているパソコンを副業で使用している際にウイルスに感染させてしまった
- PC本体やデータ類を紛失してしまった
という場合も重大な責任を問われることがあります。
副業を行う場合は、自分の個人用の端末を使い、さらに通信回線も分けるなど、十分な注意が必要ですね。
(2)副業サイドでの注意点
副業側における注意点としては、クライアントにしっかりと「副業として行っていること」を伝えることです。
会社員の傍ら副業をする場合、基本的には平日の日中は本業に時間を割かねばならず、場合によっては副業に関する連絡が遅れてしまうこともあるでしょう。
クライアントは、そのような事情も考慮したうえで、あなたに支払うべき報酬を決めて業務を発注しています。
クライアントから「話が違う」と言われることを避けるためにも、あらかじめ副業として行っていること、連絡がつきにくいに日時があるなら、その日時などの情報提供を行う必要があります。
その理解を得られずに時間にルーズな対応をしていると、自分の信頼を失うことになり、せっかく獲得したクライアントを失うことにつながります。
副業と確定申告
当然のことですが、副業で一定以上のお金を稼いだ場合、きちんと確定申告をして税金を納めなければなりません。
「副業だからいいだろう」という甘い考えは税務署には通用しませんし、納税手続が適切に行われていないと、本業での勤務先にも多大な迷惑をかけることになってしまいます。
所得税の確定申告・納付の期間は、原則として毎年2月16日から3月15日までです(詳細は、国税庁のホームページで確認してください)。「確定申告書」は、最寄りの税務署や役所で無料配布されています。
また、国税庁WEBサイトでも様式が公開されていますので、ここからダウンロードすることも可能です。
確定申告書には、「確定申告書A用」と「確定申告書B用」の2種類の書式があります。
B用は、所得の種類にかかわらず誰でも使える万能の書式で、A用は、B用を簡略化した書式です。
副業の所得を申告する場合は、ほとんどの場合「A用」で足りるでしょう。
書式の入手ができたら、フォーマットに従って記入をしていきます。
確定申告書には、本業での給料も含めた1年間のすべての所得について記入する必要があるので、申告書作成の際は、勤務先から交付された「給与所得の源泉徴収票」を手元に用意しておきます。
確定申告書は、「所得の種類」ごとに金額を記入して、最終的にそれを合算、調整する流れで作成します。
では、副業で得た所得は、どの種類の所得に分類されるのでしょうか。
一般的には、副業レベルであれば「雑所得」のなかの「業務に係るもの」に該当するでしょう(参考:国税庁タックスアンサー)。
また確定申告書の作成は、国税庁の確定申告書作成コーナーを使えば、オンラインで行うこともできます。
また、e-Taxを使えば、申告書の提出までをオンラインで行うこともできます。
※以上の確定申告に関する情報は、一般的な情報をまとめたものです。最新情報については、国税庁のホームページを参照し、個別の疑問については、地域の税務署や税理士に確認をしてください。
会社にバレない副業の始め方
副業を考えるときに、まずは、いまの会社に内緒にしておこうと考える人も多いと思います。
しかし、多くの場合は、会社にバレると考えておいたほうがいいいでしょう。
会社に副業がバレるのにはいくつかの原因がありますが、バレる原因で最も多いのが確定申告です。
先述したように、今の仕事とは違うところからの収入ができたのですから、当然確定申告をしないといけません。
これを怠ると、「脱税」になってしまうので、さらに問題は大きくなります。
副業で稼いだ分、翌年の住民税が増えるので、場合によっては、住民税の額から今の会社の人事部経由で感づかれてしまう可能性はあります。
絶対はありませんがが、こうした「会社バレ」のリスクを下げる方法もあります。
副業が本業の会社にバレない(バレにくい)確定申告のヒントについては、こちらをチェックしてみてください。
特別なスキルをもっている人におすすめの副業と案件の探し方
ここまでで、副業のメリットは理解いただけたと思います。
では、最後に、自分に合った副業の探し方をご紹介します。
いまはさまざまな業種の副業が存在しています。
「Webライター」や「動画編集」はもちろん、「コンサルティング」や「営業代行」のほか、「人事」や「経理」などバックオフィス系の副業もたくさんあります。
自分にあった副業を探すには、まずは「クラウドソーシング」を利用することから始める人がほとんどです。
クラウドソーシングサイトに登録し、自分ができそうな仕事を検索し、応募するだけです。
ただし、最初のうちは単価の安い仕事しか得られないことがほとんど。
最初は金額よりも、経験と実績を積むことを念頭に、まずは数をこなすことが大切です。
クラウドソーシングについては、こちらで詳しく紹介していますので、よければチェックしてみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は「副業の始め方」として、副業のメリット、案件の探し方から、副業の確定申告の方法に至るまでをご紹介しました。
企業側の姿勢も大きく変わり、副業を認めるところも増えています。
これまでは認められなかった副業も、いまは許されるところも多くあります。
収入源を複数持つことによる安定性や安心感、またさまざまな人とつながることで、自分自身の成長にもつながる副業は、将来的な独立や定年後の仕事としても、検討する価値は大いにあります。
「どうせダメだから」とか「面倒だから」とあきらめずに、まずはアクションを起こしてみてはいかがでしょうか?
本業を続けながらの副業なので、失敗しても失うものは、それほど大きくはないはずです。
いつか、機会が来ればと考えていては、いつまでもチャンスは訪れません。
あれこれ考える前に、まず動いてみることをお勧めします。